ライヴならではのケミストリーに導かれ、豊かで有機的なインタープレイが横溢する

 〈手数王〉こと菅沼孝三の弟子・川口千里(ドラムス)を、同じハイパー・テクニカル・ドラマーの一族と見ていた。70年代より続く同タイプ国産ドラマーを傍目に、新種の出現をやや諦めだしていた頃。ジャンルの壁を超えて活躍する鍵盤の第一人者フィリップ・セスを迎えメジャー・デビューを飾った川口に、快哉を叫んだものだった。

 「フィリップさんから〈次はジャムでいこう〉と提案があり、急遽アルマンド・サバルレッコ(ベース)さんが得意とするソンゴを用い演奏したのが“ターン・ライト”。デビュー3作目(通算5作目)の本ライヴ盤『E-Magination』では高橋佳輝(ベース)をフィーチャーしますが、スラップを用いない彼特有の奏法にぜひご注目いただきたい」

川口千里 『E-Magination - Live at Blues Alley Japan -』 キング(2026)

 日々、技巧派フュージョン・バンドのサポートで出向きつつ、エリック・ミヤシロのビバップ系ビッグバンドや宮本貴奈のスタンダード系コンボ、クラシック系前衛ブラス・ユニットにも参戦。先頃はグラミーの常連ジョン・バティステの世界ツアーにも乗り込んできた。

 「過酷なツアーでしたが、高レヴェルなスタミナとスキルを得て帰ってきました。ポーランドの現地オーケストラとの交流やモンゴルでの民族楽器との共演しかり。それは決してフュージョンからの離脱でなく、新しいフュージョンの扉を開けるべくトライしたそれぞれが有効的断片なんですね」

 川口にすれば、様々な要素をミックスした音楽がフュージョンとなる。ならば先人を学べば足りるはずがなく「様々な場所で、漂う空気を感じ、食事を共にする」。肉体からのリズムの湧出を期待し、そんな作用の出現までを存分に楽しめる人でありたいと言うのだ。

 「以前からライヴ盤を出したかったんです。敬愛するラーネル・ルイス所属のスナーキー・パピーは、そのラージアンサンブルや欧州オルケストとのライヴで独自グルーヴを生み出します。私なら信頼する仲間との小編成ライヴで、代表曲をこれまでにない自由度で調理し、最新ブラッシュアップ版に仕立てられるかなと」

 菰口雄矢(ギター)、高橋佳輝、引っ張りダコの友田ジュン(キーボード)も合わせ全員が肌感覚で音を返せる本能主義者だ。複雑な音符の跳躍も多いが、「それを余裕と安心で遊んでくれる猛者たち」で、以前にはなかったインタープレイがひとつ頂点へ達したのをみる。

 タイトルはそんな創作過程を振り返った造語。「どんな想像を膨らませてあのライヴと向き合ったか。その思いを表わしたかったのと、全5作品の頭文字を並べれば……そういうことです(笑)」

 


LIVE INFORMATION
川口千里「E-magination -Live at Blues Allay Japan-」リリースライブ!

2026年9月8日(火)東京・目黒ブルースアレイジャパン
開場/開演:18:00/19:00(×2st)

2026年9月28日(月)京都ラグ
開場/開演:18:00/19:00

2026年9月29日(火)愛知・名古屋ボトムライン
開場/開演:18:00/19:00

2026年10月13日(火)宇都宮・ちょっ蔵ホール
開場/開演:18:30/19:00

2026年10月14日(水)仙台・誰も知らない劇場
開場/開演:18:30/19:00

2026年10月15日(木)盛岡・CHANGE WAVE
開場/開演:18:30/19:00

2026年10月16日(金)五所川原・FOREST BLUE
開場/開演:18:00/19:00

出演:川口千里(ドラムス)、菰口雄矢(ギター)、高橋佳輝(ベース)、友田ジュン(キーボード)
※五所川原・FOREST BLUE公演につきましては友田ジュン(キーボード)に代り白井アキト(キーボード)が出演いたします

http://www.senridrums.com/schedule/