レイニってどんな音楽家?
――曲作りは実体験とフィクション、どちらをベースにすることが多いですか?
「実体験を混ぜることもありますが、僕はいかにもという青春時代を過ごしてないので“アルストロメリア”は完全に想像で作りました。昔はすごく暗かったので、実体験をそのまま歌詞にするとあまりプラスなことが書けないんですよね(笑)。特に“夜のカケラ”は僕がいちばん暗い時期に書いた曲です」
――自己嫌悪や所在のなさが描かれた歌詞ですよね。
「そのときの自分の気持ちをそのまま書きました。アルバムの中にこういう曲があってもいいと思うんですが、全部こういう曲だとすごく暗いアルバムになってしまう(笑)。でも〈“夜のカケラ”がいちばん心に刺さる〉とか〈助けられた〉って言ってくれるファンの方もいらっしゃるので、暗い時期の自分に共感してくれる人がいて良かった。何かしらの理由で暗くなってしまった人に向けての曲を増やしてもいいなとも考えています」
――いまは“夜のカケラ”の時期よりは明るくなったんですか?
「元気になりましたが、人生山あり谷ありなのでまたすぐ落ちるんじゃないかな(笑)。そうなったらまた歌詞にすればいいので、落ちたとしてもマイナスではないと思ってます」
――アーティストという職業はメンタルが落ちても表現に昇華できますもんね。
「だから自分に合ってると思ってます」
――新曲の“I’m in Love”はアップテンポでドライヴ・ソングっぽいですね。
「スロウテンポの曲が多いのでノリのいい曲がほしいと思ってtararebaのお二人と一緒に作りました。シェリル・リンの“Got To Be Real”とか70~80年代のディスコ・サウンドのイメージがあったんですが、アップテンポの曲は歌い慣れてないので最初はめちゃくちゃ大変でしたね。でもライヴでもこういう曲はあったほうがいいと思うし作ってよかったです」
――初めてアルバムを作ったことでレイニというアーティストに対して見えてきたことはありますか?
「うーん……音楽性が定まっているアルバムではないので、いまは〈レイニってどういうアーティストなんだろう?〉って思わせたいですね」
――これから、いろいろな曲が出来てきそうですね。
「唯一なさそうなのはシャウト系ですかね。1回デモ曲で〈ウェー!!〉って叫んでみたんですけどあまりに迫力がなさすぎて止めました(笑)」
――現時点での目標はありますか?
「気持ちは変わっていくので目標もどんどん変わるんですけど、いろんな自分を出して、ワクワクしながら前に進んでいきたいですね」
――音楽活動をすごく楽しんでらっしゃるんですね。
「楽しいですね。ライヴでお客さんの反応を見られるのも素敵なところだなと思います。先日もアルバムのリリース・イヴェントがあったんですが、曲を聴いてくれている方たちと会話ができて、〈自分やチームが人の気持ちを動かせるんだな〉と実感できてすごく楽しかったです」
本文中に登場したアーティストの作品。
左から、ONE OK ROCKの2011年作『残響リファレンス』(A-Sketch)、4ノン・ブロンズの92年作『Bigger, Better, Faster, More!』(Interscope)、シェリル・リンの78年作『Cheryl Lynn』(Columbia)
『Act. 0』を制作したアーティストの関連作。
左から、ハルカトミユキが参加した楠木ともりの2024年のEP『吐露』(SACRA MUSIC)、tararebaの前身にあたるHOWL BE QUIETの2023年作『HOWL BE QUIET』(APARTMENT)、片桐航が在籍するLenny code fictionの2023年作『ハッピーエンドを始めたい』(キューン)