2014年のパンクスはこんな感じ!? 〈3D音楽〉を標榜する5人組が、ユニークなミクスチャー感覚と共に〈抑圧からの解放〉を叫ぶ!

 音楽、映像、小説、ファッションを連動させた自分たちのクリエイションを〈3D音楽〉と称し、国内外を問わずさまざまなカルチャーから視線を注がれているロック・バンド、SuG。〈抑圧からの解放〉をテーマに、無機的なブレイクビーツと有機的なバンド・サウンドを掛け合わせたニュー・シングル“CRY OUT”を、バンドのフロントマンであり、コンセプターでもある武瑠(ヴォーカル)は〈SuG流パンク〉と説明する。

  「〈CRY(=泣く)〉と〈OUT(=脱する)〉っていうどっちもマイナスな言葉なのに、掛け合わせると〈叫ぶ〉っていう能動的な意味になるのがおもしろいなと思って、『Lollipop Kingdom』(2012年作)からお願いしているハヤシベトモノリ(Plus-Tech Squeeze Box)さんに叫び声をサンプリングしてもらったり、(PVで)iPhoneに囲まれた写真を撮ったりして、現代的な窮屈さを表したんですけど。でも、歌詞は自分の根源そのまんまなんです。〈ドキドキしたい〉っていう初期衝動とか、〈一人じゃない〉っていう復活してからファンと一緒にライヴを作っているいまの気持ちとか。そういったものを全部混ぜ合わせた感じですね。2014年にパンクスがいたらこんな感じ、みたいな」。

SuG 『CRY OUT』 ポニーキャニオン(2014)

 通常盤には1分半にも満たないファストコア“Nevermind”を収録。その表題と、ダーティーなギターが轟くイントロを聴くと、自然とニルヴァーナのアルバムを思い出すのだが、「そんなに意識をしてないけど、そこから取った」そうだ。

  「ライヴで盛り上がるために選んだ曲だから、歌詞とか別にいらないなって思ったし、書きたくなかったんですよ。めんどくさくて(笑)。だから、なんで書かなきゃいけないんだろう?っていうのを、そのまま歌詞にしてます。たまにはテキトーでも大丈夫っしょ?っていう意味で〈Nevermind=気にするな〉(笑)」。

 また、2タイプある初回盤のそれぞれに、ライヴで鉄板なナンバーの新録版を収録。初回盤Aには“39GalaxyZ”、初回盤Bには“heavy+electro+dance+punk”が収められ、前者の編曲はハヤシベトモノリが担当している。

  「そもそも“39GalaxyZ”を作った当時から、Plus-Tech Squeeze Boxの『cartooom!』が大好きだったんです。感情的で切なかったり、衝動的な音に対してああいうカットアップが入るのが、自分の理想の音だったりするんで」。

 さまざまな要素を混ぜ合わせて作品を生み出していく武瑠だが、個人的に“CRY OUT”からは、Dragon Ashが2003年に発表したアルバム『HARVEST』の雰囲気を受け取った。本人も「そのイメージだった」と話す。

  「サビはもっとJ-Popな感じですけどね。でも、俺もyuji(ギター)も大好きなんですよ。ああいうブレイクビーツとか、映像的なところとか、“morrow”の叙情的な感じとか。そこは次のアルバムにすごく反映されてると思います。Dragon Ashもそうだし、90年代後半から2000年代前半に流行った、宇多田ヒカルさんとかのちょっとファンクっぽい感じとか、L’Arc~en~Cielとか、いろんなものを聴きまくってた自分たちのルーツが出てる。それだけじゃなくて、これまでの活動の全部を詰め込んでいて。浮気者(武瑠のソロ・プロジェクト)で書いた世界観も全部、次のアルバムで書こうとしていた世界の断片だったりするし……だから、ワケがわかんないんですよね(笑)。ジャンルもぐっちゃぐちゃだし。でも、整合性は取れてる。自分の理想的な作品になると思います」。

 

▼関連作品

左から、Plus-Tech Squeez Boxの2004年作『cartooom!』(VROOM)、ニルヴァーナの91年作『Nevermind』(DGC/Geffen)、Dragon Ashの2003年作『HARVEST』(MOB SQUAD)

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 ここではSuGの近年の動きを紹介します。2012年12月に活動を休止した彼らは、翌年3月の初のベスト盤『BEST 2010~2012』(ポニーキャニオン)でメジャー・デビュー以降の活動を総括。そんななか武瑠はソロ・プロジェクトの浮気者を始動させ、同年11月にゆよゆっぺや0.8秒と衝撃。らとコラボしたミニ・アルバム『I狂U』(同)を発表します。それと前後してSuGは9月に活動再開を発表。12月の復活ライヴを経て、今年2月に再始動後の第1弾シングル“MISSING”(同)、7月にはTeddyLoidを編曲に迎えた“B.A.B.Y”(同)と新作を連発します。なお、チケットが即完売した東京・国立代々木競技場第二体育館での復活ライヴの模様は、映像作品「SuG Onemanshow 2013 Update Ver.0」(同)に収められています!  *bounce編集部

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