シューベルト晩年の大曲“ピアノ三重奏曲”はこの作曲家の心の闇を感じさせつつウィーンの俗っぽさも聴き取れる。ただ聴こうとしても何か壁を感じてきたが当CDはそんな空気を一掃してくれる。テニスボールが跳ねるようにリズムを刻みウィーン風をバッサリ切り捨てた潔さが新鮮。とはいえ楽器ごとの旋律の受け渡しは極めて自然で親密。エドガー・モローによるチェロの存在感は光る。ピチカート1音1音の存在感や第2番の2楽章のような大きな弧を描く歌いっぷりが絶妙。トリオ・モローは前述のチェロのエドガー、ヴァイオリンのダヴィッド、ピアノのジェレミーのモロー3兄弟のアンサンブル。