1ヶ月全集中! 日本屈指の名手が満を持して挑んだ〈ヴァイオリンの旧約聖書〉!!
サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団のメンバーとして長年活躍し、2015年からはセントラル愛知交響楽団のソロ・コンサートマスターを務める日本屈指の名ヴァイオリニスト・島田真千子が、〈ヴァイオリンの旧約聖書〉と称えられるJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータの全曲録音に挑んだ。彼女は15年にパルティータ第2 & 3番とソナタ第3番の作品集を発表したが、この時も全曲録音。だが、3回に分けて録音したこともあり、前半3曲と後半3曲のクオリティが違いすぎて全曲盤を断念している。
「今回は2年前からスケジュールを調整して、録音前に1ヶ月ほどJ.S.バッハだけに向き合う時間を作りました。宗次ホールで行ったセッション録音は、25年4月と11月に3日間ずつ。春に明るいソナタ第1 & 3番とパルティータ第3番を、秋にシリアスな残り3曲を各々1日1曲ペースで、これ以上ないベストの状態で録音できたと思います。音質も驚くほど素晴らしく、自分よりも深い所で、心の動きを全て記録していただけました」
NPO法人イエロー・エンジェルから貸与されて約10年経つ1769年製グァダニーニ(弦は銀巻きのガット)とバロック弓を使用した当盤は、優美な音色と中庸のテンポで隅々まで緻密に見通しよく紡がれている。
その聴きどころを尋ねると、「作曲者の先妻マリア・バルバラの死が関係していると思われる本作は、ソナタ第1番からパルティータ第2番で作曲者の深い悲しみに寄り添った後、ソナタ第3番のアダージョを弾き始めた瞬間に世界が希望に満ち溢れて、弾いていると嬉しくなってしまって。かつて本作の全曲演奏会で感じたこの世界観を録音でも表せるように努めました」
バルバラの葬送を想わせる悲しみと癒しの回帰を静謐に歌い上げたシャコンヌは当盤の白眉だが、島田がそれ以上にこだわったのが、3つのソナタのフーガだという。
「J.S.バッハはフーガの大家で、その多声感は、無伴奏作品だとチェロやフルートにはできないヴァイオリンだけのもの。でも、その表現には技術が必要で、前回の録音ではやり切れなかったのですが、今回は私が小さな頃から惹かれていた多声感に近づけた気がします」
現在体調不良で活動休止中だが、来年5月8日にバッハ無伴奏全曲の再演が決定しており、必ずや完全復活とさらなる深化を聴かせてくれることだろう!
