今年、生誕100周年をむかえたマイルス・デイヴィス。マイルスについて書かれた本が数多く世に出たけれど、これほどまでに彼の音楽の中身にフォーカスされたものは他にない。アルバムごとの演奏を事細かに分析し、マイルスの即興演奏への向き合い方の変容を捉えることで、ジャズミュージシャンとしてどのように新しいものを生み出そうとしていたのかが浮き彫りになる。また、ライヴの映像での仕草やアルバムとのセットリストの違いなど音の外側にも目を向け、彼の思考に迫ろうとしているのが面白い。やや音楽に精通した人向けの内容ではあるものの、マイルスの音源を聴きながら楽しんでほしい一冊である。