ラナメリサらしい意志を感じる対バンイベントシリーズ
InstagramやTikTokで“エロス”“愛でてよベイベー”といったオリジナル曲の動画が大きな注目を集め、2025年にメジャーデビューを果たした新進気鋭・新世代のシンガーソングライター、ラナメリサ。彼女が東京・渋谷TOKIO TOKYOでおこなっている自主企画〈ラナメリサ presents 太陽に妬かれて〉のVol.3が、2026年8月23日に開催された。
十明、穂ノ佳、そして今回のREJAYと、世代の近い女性シンガーソングライターを招いてきたこの対バンイベントからは、ラナメリサらしい一貫性や意志表示が感じられる。開演前や終演後にはアヴィーチー、アウル・シティー、GLIM SPANKY、Bialystocksなど、洋邦さまざまなアーティストの曲が流れていたが、BGMの選曲も自らおこなっているとのことで、彼女の手作りなイベントであることが伝わってくる。

REJAYの歌と音が心に浸透する、たった1人の世界
開演時間になり、1人で舞台上に現れたのは、今回の対バン相手であるREJAY。ストラトキャスターを構え、バッキングトラックなしに“Remedy”を歌いはじめた。コーラスのエフェクターが少しかかっているのだろうか、微妙に揺らぐギターの音が心地よい。演奏はそのギターと自身の内面をじんわりと表現する歌だけだが、聴き手の集中力をすぐさまぐっと引きつけた。
短い挨拶とともに演奏を始めた“Shaky”では、ボサノバのリズムをギターで奏で、ドラムやベースの同期音とともに歌って景色を一変させた。歌声にかけられたリバーブが深い広がりをもたらし、彼女が発する音が会場を包み込んでいく。ファルセットで歌ったときの儚げで繊細なニュアンスには、歌い手としての個性が宿っている。
次の“HAZY (Prod. A.G.O)”は、近年のベッドルーム系ドラムンベースのビートが軽やかでクール。オーストラリア人の父の影響で幼少期から多様なジャンルの音楽を聴いて育った、という彼女の背景を感じさせる幅の広さだ。また、バイリンガルらしい発音と発声、日英混成の歌詞で魅せていく点も、REJAYならではだった。

「ラナメリサさんは、年が近くてちょっとお姉さんかな? 自主企画に呼んでもらったのはすごく嬉しくて、私も頑張らないと、と思うくらいのエネルギーを感じます」と、REJAYがMCで語る。若干ハスキーな声には、ラナメリサに似ている部分を感じた。
10月に開催する日本での初ワンマンライブを告知したあと、「The next song is “Too Late”」と英語で曲を紹介し、“Remedy”にも通じる内省的な世界でステージとフロアを満たした。JQ(Nulbarich)に見出されたという彼女らしく、フランク・オーシャンのようなR&Bの親密さを纏った歌が胸を打つ。
続く“Let’s Just to Be”は、またも歌とギターのみの演奏。高音を含めてゆったりと、しかし切々とひとつひとつの音を伸ばしていく歌は、シンガーとしての芯の強さをしっかりと伝えるものだった。
「今日は本当にありがとうございました。REJAYでした」と別れを告げつつ、“Middle of the Night”“Meant to Be”を続けて披露。前者では、後半の転調で鮮やかに音の風景を広げていく。後者では、インディロックっぽいニュアンスのあるトラックとともに歌い、軽やかなビートと湿度を湛えた歌の絡み合いが切なげなマリアージュを見せていた。
「ありがとうございました!」そう言って、REJAYはステージを去っていった。シンガーソングライターとしての個性も音楽性も異なるが、歌とギターだけでも見せ切ってしまえる表現力は、たしかにラナメリサと通じ合っていた。

REJAYのパフォーマンスは、じんわりと聴き手の心に歌が浸透していくインナーな世界。しかし、イベントを主催するラナメリサ本人のライブは、それとは真逆に、あらゆる憂鬱や鬱屈を爆音で勢いよく吹き飛ばしていくもので、その対比がまた対バンライブとしての醍醐味を体現していた。2人のコントラストと共通点、その両方の妙味を味わえるイベントで、ツーマンライブの美点がここにはあった。