その昔、LP時代のジャズのアルバムは裏面に必ずライナーがあった。ご存知の通り、ライナーとは時事性を映し出す文章。中古LPを買って、その発売当時に書かれたライナーを読んだりすると、今では超大物のアーティストが意外にも軽い扱いで書かれていたり、とっくにピークを過ぎたアーティストがデカデカと高評で書かれていたり、と実に興味深い。本書はジャズ・ライターの小川隆夫氏がマイルス・デイヴィスビル・エヴァンス等の数々のジャズ・ジャイアンツの歴史的名盤のオリジナル・ライナーを解説を交えながら、その面白みを伝える、これまでありそうでなかった画期的な一冊。

【参考動画】マイルス・ディヴィスの59年作『Kind Of Blue』収録曲“So What”