女性ヴォーカリストのゲピと、作詞/作曲を担当するギタリストのバビによる韓国インディー・シーンを代表する男女アコースティック・ユニットの秋休みが、ニュー・アルバム『3番目の季節』の日本盤をリリース。同作収録曲のミュージック・ビデオが公開されている。
初作『秋休み』(2010年)は韓国で2万枚ものセールスを記録。優良レーベルとして知られるプロダクション・デシネが日本盤をリリースし、tofubeatsやシンリズムなどミュージシャンのファンも多い。彼らの魅力は、心の琴線に触れるポップで切ないメロディーと、透明感のあるゲピの淡い歌声、そこへ爽やかで眩しいギターの響きも重なってくるのだから、涙せずにはいられない。今回の新作『3番目の季節』も珠玉のナンバーが揃っている。
ちなみに、秋休みはリリックも秀逸なので、日本盤に付属された対訳をじっくり読んで味わいたいところ。たとえば“ベスト・アルバムは買わない”では、〈自分の良い姿だけ見せようとアピールする〉異性のことを、良い曲だけ集めたコンピレーションに準え、〈私は失敗も含めて、もっと深く相手を愛したい=だからベスト・アルバムは買わない〉と歌っている。そのストーリーを踏まえると、同曲のMVで机の上にずらりと並べられたビーチ・ボーイズのアルバム群も、また違って映るかもしれない。
恋人たちが年齢を重ねていくうちに生じる不安と、率直に愛する気持ちを重ねて歌う“アイボリー”も、これまた感傷的な一曲。映画の中の恋人たちに自身の姿を投影しながら、自分たちは成長できているのだろうかと考え込む。とはいえ、月日の経過で変わるものと変わらないものがあるけれど、春はもうすぐ訪れるし、どうしても愛していると伝えずにいられない――こんなにいじらしい歌詞を、この声で歌われるのだからたまらないだろう。
なお、『3番目の季節』日本盤にはボーナス・トラックとして、『秋休み』収録曲“時々狂おしいほど君を抱きしめたくなる時がある”の日本語ヴァージョンも収録。これまたグッとくる仕上がりになっているので、この機会にオリジナルもぜひチェックを!