憂いのあるヴォーカルそのものがまず魅力的な、マレーシアの女性歌手による新作。今様のポップ・ロックも広がりがあって良いが、笛やアコーディオンが郷愁を誘うバラードなどからはアイリッシュ・トラッドっぽい雰囲気も感じられ、深く引き込まれる。哀感の漂うナンバーが多いものの、曲によってラップもしているし、歌い方は多様。セリフと簡素な背景音だけで構成されたインタールードが、映画的な効果を生んでいる。