インタビュー

HUSKING BEE 『AMU』

9年ぶりの復活作からわずか1年——新しい血を採り入れて勢い付くバンドが自由な発想とライヴ仕込みの結束力でもって〈新たなハスキンらしさ〉を編み上げた会心作!

HUSKING BEE 『AMU』

 9年ぶりの復活作『SOMA』リリース時のbounce誌インタヴューは、平林一哉(ギター/ヴォーカル)の〈これからライヴを重ねていけばもっと具体的なことが見えてくる〉という希望の言葉で締め括られていた。あれから14か月が経ち、磯部正文(ヴォーカル/ギター)+平林の年長組と、岸野一(ベース/コーラス)と山崎聖之(ドラムス/コーラス)の新加入組との融合は驚くほどに進歩し、HUSKING BEEは新たな黄金期を迎えつつある。その証明となるのが、ライヴ・バンドであることをベースに、可能な限りのアイデアを盛り込んだニュー・アルバム『AMU』だ。

HUSKING BEE AMU HIGH WAVE(2014)

「前作はライヴをやっていない段階で作っていたので、今回(ライヴを重ねたことで)バンドが固まったというのはありますね。僕は特にドラムについて、音作りからもっと時間をかけたかったので、それは上手くいったと思います」(平林)。

「いつもそうなんですけど、ライヴで変化するのが目的で音源を作るんですよ。ライヴ感だけの作品になるのもどうかな?と思うし、せっかくいろいろエフェクトもかけられるのだから、いっぱいかけてもらいましょう、とか。今回はちょっとデジタルっぽい曲があったりして、いままでやっていないような、でも自分がすごく好きな音楽がやりたくて、そういうものがけっこう入ったと思います」(磯部)。

 基本となるのはもちろん、冒頭の“Find You”や“1 Minute”のような、磯部の作るメロディックでラウド、情熱的かつ叙情的なハスキン王道のロック・チューン。そこに平林の曲が良いスパイスとして、“A Subtle Touch”のように複雑なリズム・チェンジで楽しませるナンバーや、“Words Unheard”のようなカントリーっぽい軽やかな曲が変化をつける。曲調の幅といい演奏の豊かさといい、バンドの一体感が伝わる素晴らしい完成度だが、最大の聴きどころは何といっても“ A Never Ending Journey”。4つ打ちのビートとエフェクトをかけたヴォーカルで驚かせつつ、あくまでポップかつ爽やかなギター・ロックへと着地させる、〈新たなハスキンらしさ〉がここにある。

ポスタル・サーヴィスとか、ストロークスジュリアン(・カサブランカス)のソロとか、打ち込みに近いドラムで、だけどメロディアスで、そういうのが大好きなんですよ。それと、去年ゲット・アップ・キッズといっしょにライヴをやったのが本当に楽しくて、彼らにデジタルな要素が加わったような曲を作ろうとか、キーボードのジェイムス(・ドゥウィーズ)がやってるレジー・アンド・ザ・フル・エフェクトのイメージとか、自分の好きなものが重なってこうなりました。〈ハスキンらしくない〉って言われるかもしれないけど、いままでのハスキンらしさも、その時自分がやりたいと思うことをやって〈ハスキンらしさ〉になったんだから、10年後にはこれも〈ハスキンらしさ〉になるだろうと。ものすごく変わったというわけでもないし、まったく変わらないのも違うと思うから、それが混じりあう感じですね」(磯部)。

「昔のハスキンは、そういうところで幅を広げることはなかなかできなかったけど、いまはできると思ってます。ドラムのDAZE(山崎)は〈何でも来い!〉っていうタイプだし、ベースのハジメはエフェクターが大好きで、実験的なことも積極的にやってくれるので。すごく楽しいです」(平林)。

「でもね、“A Never Ending Journey”もたぶんライヴでは変わるんですよ。熱く聴こえると思います。“1 Minute”も音源だけ聴くとさらっと聴こえるんですけど、この間ライヴでやったら〈うおおおおお!〉みたいな感じになって、ライヴ感がめっちゃ出たし。今回のアルバムはそういう曲が多くて、家に帰って聴き直したら、また違う感じに聴こえたら最高だなと思います」(磯部)。

 タイトルの『AMU』は、磯部がたまたま観た映画「舟を編む」にヒントを得たもの。言葉を編み、音を編み、人に届けるロック・バンドというハスキンの本質を捉えた『AMU』は、新たな代表作として長く愛聴されるであろうアルバムだ。

「いままでも編んできたし、これからも編むだろうし、いろんな人が編んでいるだろうし、自分だけじゃなくみんなに共通してる。辞書で調べると〈浴む〉ともいうし、音を浴びるとか、いろんな意味になるなと。もしかしたら何かのイニシャルかもしれないし、これからいろんな意味が出てくればおもしろいし、〈何かいいですね〉と思ってもらえれば嬉しいです」(磯部)。

 

▼HUSKING BEEの作品

左から、2013年作『SOMA』(HIGH WAVE)、ベスト盤『ANTHOLOGY 1994~2004』(トイズファクトリー)、ライヴDVD「HUSKING BEE 2012 LIVE at AIR JAM 2012, DEVILOCK NIGHT, BAD FOOD STUFF」(CARNAGE)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

▼関連作品

左から、HUSKING BEEが参加した奥田民生の2013年のトリビュート盤『奥田民生・カバーズ2』(キューン)、bloodthirsty butchersの2014年のトリビュート盤『Yes, We Love butchers 〜Tribute to bloodthirsty butchers〜 Abandoned Puppy』(クラウン)、磯部正文が参加したthe chef cooks meの2013年作『回転体』(only in dreams)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

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