“世界を革命する力”をもたらす讃歌、その無窮の歴史を紐解く新説黙示録
『少女革命ウテナ』、1997年に放映された日本アニメ界きっての不朽の名作。ここでその魅力を語るにはあまりに紙面が足りないので割愛させていただくが、この『少女革命ウテナ』という作品の芸術性を高めた要因の一つに「J・A・シーザー提供の楽曲群」がある。かねてよりシーザーのファンであった監督:幾原邦彦のラブコールに応え、実に30を超える楽曲が提供され『少女革命ウテナ』の幻想的ともシニカルともいえる世界観を確立した。
そんな『少女革命ウテナ』を彩った楽曲群が「わたし革命ファルサリア」と名を冠し、新たな意匠が施されたブックレットと共に最新リマスタリングで生まれ変わった。《起源譜》《変身譜》の2タイトルでまとめられた本アルバムは『少女革命ウテナ』×『J・A・シーザー』の化学反応を一望できる綜覧となっている。
《起源譜》はウテナのために書き下ろされた楽曲や、シーザー自身のアレンジによる生々しい音を中心にまとめられている。劇中のクライマックスを支えた「体内時計都市オルロイ」、最終回で使用され話題となった「ミッシング・リンク」等しびれる選曲だ。
一方《変身譜》は『少女革命ウテナ』の音楽を担当した光宗信吉による華麗なる編曲を中心に収録。元はシーザーが手掛けた演劇公演で使用された既存曲だったのだが、光宗信吉の手により"変身"した懐かしくも美しいそのサウンドは、シーザーのそれとはまた違った味わいを魅せる。
「天使創造すなわち光」「絶対運命黙示録」など光宗信吉とJ・A・シーザー両者が編曲を手掛けた楽曲も多数収録。同じ世界観に在りながら発生した差異(すなわち変身)、それを聴き比べられるのもこのアルバムの意義である。
5月には二日間にわたってリサイタル「荒野より」が行われ、シーザーの活動は年々パワーを増している。そんな彼の足跡を追う上で重要な転換点となった「アニメ」と「アングラ演劇」の"絶対運命"の邂逅、まず味わい尽くしてもらいたい。
LIVE INFORMATION
J・A・シーザー リサイタル 荒野より
○5/3(火・祝)17:00開場/18:00開演
○5/4(水・祝)14:00開場/15:00開演
会場:新宿FACE
diskunion.net/diw/ct/news/article/1/57090