2012年にDeccaデビューを果たした後、ヴァレンティーナ・リシッツァは精力的に新作を発表し続けている。ラフマニノフ、リスト、ナイマン、グラス、ショパン、スクリャービン。そして今回、彼女が新たなレパートリーに選んだのが映画音楽。『危険な月光』、『アパートの鍵貸します』等、40年~50年代の名作ばかり。その音楽は、1曲目の冒頭から鳥肌がたつ程のダイナミックな演奏で、リシッツア特有の超絶技巧が存分に発揮されている。BBCとの駆け引きも見事。ラストを飾る『高慢と偏見』のメインテーマでの、哀愁漂うその響きにうっとりしてしまう。ぜひとも、生演奏で聴いてみたい。