演奏家になる前はトップ・モデルとして活躍していたという美しきチェリスト、ニーナ・コトワの新譜がリリースされた。意欲的な表現にあふれる一方で室内楽としてのバランス感覚も秀逸な演奏になっているところが素晴らしい。特にラフマニノフのソナタはピアノが重要な役割を担っている。ピアノのビディーニはマリア・ティーポに師事、ブゾーニなど数々のコンクールに入賞歴があり、現在はベルリン芸術大学の教授を務めている。ピアノの安定した支えも相俟って充実のアンサンブルを堪能できる。2曲だけ収められたチャイコフスキーの小品では伸びやかに歌うチェロの音色にコトワの息吹が感じられる。