10月にリリースされたシゲト(Shigeto)ことザック・サギノウの新作『The New Monday』が実にいい。長くNYを拠点に活動していたシゲト(ちなみに、彼は日系アメリカ人だ)が、故郷であるデトロイトに戻って制作したのが2作目にあたる『No Better Time Than Now』(2013年)で、それも本っ当に素晴らしい作品だったんだけど、『The New Monday』は前作に劣らぬ、というか、さらに音楽的に深化したインスタント・クラシックだと強く感じる。おなじくデトロイトのムーディーマンの音楽を思い出すようなディープ・ハウスへの傾倒はあきらかで、眼を閉じてこのアルバムを聴いていると、「ストレンジャー・シングス」に出てくる〈裏側の世界〉に突然行ってしまったかのようなトリッピーな感覚を味わえる。細かく刻まれる生音のパーカッションも強烈だけど、ダニー・ブラウンのクルーに所属しているラッパー、ZelooperZの客演もフレッシュ。でも、通勤電車で聴くような音楽ではないかな……。