老舗のネットラジオdublabや〈Low End Theory〉の流れを作り出し、やがてブレインフィーダーを生んだLAのビート・シーン。スコット・ヘレンの標榜したサイケデリックな方向性もあって、ここしばらくはいわゆるビーツ作品よりもいわゆるインディー界隈との親和性の高いアトモスフェリックな機能美の追求が主流となっていたように思う。今回ティーブス作品に参加しているジョンティもシゲトも同様で、アルファ・パップから登場したアストロノーティカの作風もフラッフィでメロディアスなものだった(反面、トキモンスタがウルトラで明快な歌モノを選んだのも興味深い)。

ジョンティの2011年作『Twirligig』収録曲“Nightshift In Blue”

シゲトの2013年作『No Better Time Than Now』収録曲“Detroit Part 1”

 一方でこの先にありそうなのは(ハドソン・モホークの飛躍に触発されたのか)より根源的な意味でのヒップホップ性への揺り戻しだ。ピラミッド・ヴリトラやジョンウェインのようなクロスオーヴァーした新星による裏付けはもちろん、アール・スウェットシャツの『Doris』にサムアイヤムが参加していたり、ホッジー・ビーツとフライング・ロータスがコラボしたり、ちょっと気になる動きも徐々に顕在化しつつある。となると、ティーブスもかつてビートを提供していたキャプテン・マーフィの動向が気になる……。

 ピラミッド・ヴリトラの2014年作『Indra』

 

▼関連作品

左から、ジョンティの2011年作『Twirligig』(Stones Throw)、シゲトの2013年作『No Better Time Than Now』(Ghostly International)、アストロノーティカの2013年作『Replay Last Night』(Alpha Pup)、ピラミッド・ヴリトラの2014年作『Indra』、ジョンウェインの2013年作『Rap Album One』(共にStones Throw)、ブルーの2013年作『No York!』(NewWorldColor)、ラスG・アンド・ジ・アフリカン・スペース・プログラムの2013年作『Back On The Planet』(Brainfeeder)
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