前作『From Darkness』ではダイナミックなアンサンブルでその技術と独自性を遺憾なく発揮。また、2016年9月にはチック・コリアとの再会セッションを行うなど、近年の活動ではジャズ・ベーシストとしての表現を追求してきたアヴィシャイ・コーエンがたどり着いたのが〈歌〉。これまでもヴォーカル入りの楽曲は存在してきたし、自身の声を表現方法の一つとして取り入れることはあったが、本作は初めての完全ヴォーカル・アルバムである。あまりの振り切り様に戸惑ってしまうかもしれないが、そこにはジャズ・ミュージシャンとしてのアヴィシャイ・コーエンが確かに刻印されている。