鬼才ベーシスト、アヴィシャイ・コーエンのトリオ作品と言えば、シャイ・マエストロ(ピアノ)、マーク・ジュリアナ(ドラムス)との『Gently Disturbed』(2008年)には度肝を抜かれた。イスラエル由来の哀愁漂う旋律と、変拍子を多用した複雑なリズム。それらを完璧に統率するアヴィシャイのコンポージングセンスと、火花散るインタープレイの二面性。本作はエルチン・シリノフ(ピアノ)と、ノーム・ダヴィド(ドラムス)とのトリオで、『Gently Disturbed』で確立した方向性を推し進めつつも、ホーン・セクションを取り入れる等、よりカラフルな風景を表現している。