クルレンツィスがソニー・クラシカルに移籍後初の交響曲録音に選んだのは、チャイコフスキー:交響曲第6番“悲愴”。ギリシャ生まれであるが、サンクト・ペテルブルク音楽院で学んだ彼にとってチャイコフスキーは重要な作曲家のひとり。そのためか、発売が延期になるほど編集作業に時間をかけてようやくのリリース。それを裏付けるようかのように、その演奏の緻密さには驚かされる。思い切った強弱に独自のテンポ感で進むが、その説得力の凄いこと……。特に第2楽章のティンパニ、終楽章のコントラバスが印象的だが、各楽器が鳴らす一音一音に意味があり、どこをとっても密度の高い演奏で聴き逃せない。