資料に目を通すと、〈セロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティション』でドラマーとして最優秀賞を獲得し、その後リリースしたデビュー・アルバム『Jamison』がグラミー賞のベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム部門ノミネートとある。しかし、試聴音源を再生した刹那、飛び込んできたのはソウルフルなジャイヴ・ビート。これは不意打ち。どんなアーティストなのかが気になり結局一気に最後まで聴き切ってしまった。そこには正統派ジャズ・ヴォーカリストの顔も見せるし、フォーキーな温かみ、ソウルの情感もある。どのジャンルもきちんと血に流れている人だけが出せるグルーヴとマナー。評判の高さはダテではない。肩の力の抜けた力作。