一般的に日本でオルガンというと小学校で見る、小型の足踏みリードオルガンのイメージだが、欧米では主にパイプオルガンを指すことが多い。巨大なものは二万本を超えるパイプからなり、その土地の風土、文化に根付いた建築物でもある。ラヴェルのパヴァーヌが珍しい。かわいらしくありながらも凛とした王女の舞踏が、巧みなストップ操作によって様々な音色で演奏される。ギルマンのパラフレーズは、表彰式で使われるヘンデルのあのメロディ。清々しい音色で始まり精緻な構成で展開、最後は壮大に終わる。他、定番に収まらない意欲的な選曲。ぜひヘッドホンでじっくりと大伽藍に身をまかせたい。
紙屋信義 『アダージョ パイプオルガンで聴く名曲』 ラヴェル〈パヴァーヌ〉やギルマン〈パラフレーズ〉など意欲的な選曲
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