すばらしい名盤が復活。亡くなる約1年半前のケルテスによるモーツァルトのオペラ名場面集で、今回が初出LP以来のオリジナルの曲順通り、カットなしでの初復刻となる。ウィーン・ハイドン管弦楽団は瑞々しい弦の合奏といい、オーボエやホルンの独特の味わいといい、ウィーンそのものの魅力を終始放ち、録音も実に生々しく、冒頭の《フィガロの結婚》序曲から、その美しさにしびれてしまう。歌手陣もポップやファスベンダーなど、後に大歌手となる面々が30代の若さで揃い、声が豊かで若々しく、モーツァルトの名アリアを次々に披露してゆく。作品、演奏、録音、すべてにわたって贅沢な「耳のご馳走」である。