アンダーベストから考える乃木坂46の深み
ななみんが卒業した〈5th YEAR BIRTHDAY LIVE〉(2月20~22日@さいたまスーパーアリーナ)がものすごーく昔に思えるわあ……っていうぐらい、その後が凄まじかった。サード・アルバム『生まれてから初めて見た夢』のリリースがあり、発表した3枚のシングルはいずれもミリオン。メンバーのソロ写真集ラッシュ、真夏の全国ツアー、初の東京ドーム公演2デイズ、初主演映画「あさひなぐ」、結成時から在籍したまりっかとひめたんの卒業、レコ大受賞などなど――オタクの皆さんだけに止まらないトピックが満載だった2017年の乃木坂46。他にもTVや雑誌などあらゆるメディアを賑わせ、グループが完全にモンスター化した印象を与えた一年だったので、あちこちで〈その人気のヒミツは?〉なんていう見出しを目にすることも多かったんじゃないでしょうか。
それについては、写真集が異例のヒットとなった白石麻衣や映画でヒロインを演じた西野七瀬だけでなく、グループ全体の高水準なヴィジュアル偏差値によるところも大きいわけですが、それ以外にも重要なファクターとして挙げられるのが、組織としての深み。シングルをリリースするたびに、表題曲をパフォーマンスする〈選抜〉とそこから漏れた〈アンダー〉に分けられるのは48グループと同じではありますが、総選挙のようなグループ内競争イヴェントがない乃木坂46の場合は、いわゆる選抜組のマイナー組織=アンダーという意味合いとはちょっと違っているような気がします……というところで、乃木坂46のアンダー楽曲をコンプリート+新曲で構成されたアルバム『僕だけの君 ~Under Super Best~』が先頃リリースされたわけなんですが、とにかくね、楽曲がハイセンス! 〈おしゃれなリセエンヌ〉というイメージのもとで表題曲が作られていた初期シングルから脈々と続く、テーマとしては〈ウラ〉でありながら(選抜メンバーも羨むぐらいの)佳曲というのがカップリング収録のアンダー曲になっているわけで、それらはMVもしっかりと手間をかけて作られていたし、センターを務めるメンバーのキャラクターやそのときどきのグループの状況を鑑みたうえで世界観を形作っていくなど諸々の手順は表題曲と何ら変わらないわけですから、それはもうビギナー・ファンにとっては〈隠れた名曲〉との出会いがいっぱいの作品であること間違いナシなんです。いずれ選抜の常連になるであろうメンバーもいるだろうし、(選抜よりもライヴ活動が多いだけに)パフォーマンス・スキルを買われてアンダーにずっとなくてはならないメンバーもいるだろうし……ということを含めていろんな楽しみが見えてくるアンダー組織を抱えながら、2018年の乃木坂46そのものがどこまで世の中をインフルエンスしていくのか――まったくもって予測不能ですよ!