タワーレコードの〈歌姫×韻シスト〉企画から誕生した濃密なコラボ、再び

 

彼らの演奏と彼女の歌声が初めて銀盤の上で交わったのは、3年前の春。大阪をベースに活動する〈人力〉グルーヴ・マスター=韻シストと、クィーン・オブ・レゲエ=PUSHIM。タワーレコードの〈歌姫×韻シスト〉なる企画で、韻シストからの熱烈なラヴコールによって実現したコラボレーション盤『Don't stop』の出来映えはとにかく素晴らしかった。単にマッチアップの面白味だけじゃないスリルがそこにはあり、何より当人たちがもっともエキサイトしたはず。

その後、韻シストはPUSHIMが主宰するレーベル〈Groovillage〉に合流し、PUSHIMのアルバム『F』にも参加(ベースのShyoudogのみ)。お互い、新たなサムシングを探り続けていくなかで出会った2組は、ここに紹介するミニ・アルバム『TO THE NEXT』で、ふたたび濃密なコラボレーションを果たすことになったのだ。

オープニングを飾る表題曲“TO THE NEXT”は、イントロからエモーションを掻き立てられるグルーヴィーなサウンドに、《負ける気がしない ベイビー Largeな態度で攻めて》──〈NEXT〉に向かって力強いアティテュードを示したリリックが乗るナンバー。PUSHIMのヴォーカルとBASI、サッコンの2MCの絡みは、続くロック・ステディー調のナンバー“Dreamin'”でも絶妙で、この2組ならではのピースフルさが頼もしく、愛おしい。

アーバンなレゲエ・サウンドに、その歌声もより艶めくPUSHIMのソロ・ナンバー“Rising Sun”は、Shyoudog、TAROW-ONE、TAKUの韻シストBANDが演奏/プロデュース。韻シストの単独曲“とまらない”は、自らのバンド人生を謳歌するマイアミ・ソウル・テイストのナンバー。韻シストBAND“SPACE&TIME”は煌びやかで洒脱なディスコ・ナンバーで、ラストはDJ Mitsu the Beatsによる“TO THE NEXT”のリミックスで締めくくり。

いまだ進化/深化を続ける両者それぞれの魅力と、2組が交じり合ったときのミラクルが味わえる、またもや得も言われぬスリルに満ちた一枚になった。