©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督インタヴュー

―スポーツ関係者必見! 1973年全米を熱狂させたビリー・ジーンVSボビー・リッグスの闘いあっての自由と平等

 1973年、世界で9000万人もの人が注目し、全米を熱狂させたゲームがあった。女子現テニス世界チャンピオン、ビリー・ジーン・キングVS男子元世界チャンピオン、ボビー・リッグス、男対女の闘い。当時を振り返り、監督のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスは語る。「ボビーはタイム誌の表紙を飾り、60ミニッツに出演するなど、注目はされていたけれど、あきれている人も多かった。けれど、時代を振り返ってみると、あの試合は変革への第一歩だったんです」。

 大勝負に出たビリー・ジーン。彼女は別に男を負かしたかったわけではない。「女子のテニスは観客が呼べない。だから、女子の優勝賞金は男子の8分の1」といういまではとても考えられない、不平等な認識とシステムへの抗議として、この試合に臨んだのだ。ビリー・ジーンに扮したのは「ラ・ラ・ランド」でオスカー女優となったエマ・ストーン。まるで別人の変身ぶりが話題だ。「エマはビリー・ジーンをアスリートとしても、活動面でも、とても尊敬していました。7キロも筋肉を増量して肉体改造し、歩き方から癖、何もかも完コピして、ビリー・ジーンになりきったのです」。

 ビリー・ジーンのよき相談相手となるのはデザイナーのテッド。彼もまた実在の人物で、あの時代には珍しくゲイをカミングアウトしていた。演じているのはアラン・カミング。彼自身もバイセクシュアルを公言し、同性愛者の子育てを描いた「チョコレート・ドーナツ」など、印象的な演技で知られている。「いつか自由に人を愛せる。アランが話すテッドの台詞には重みがあり、心からの思いが伝わってきます。彼に演じてもらって本当によかった。実際のテッドさんは長身、はげ頭で、アランほどハンサムではないですけど(笑)」。

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 劇中で描かれるように、ビリー・ジーンをはじめ、当時、何人ものテニス選手がレズビアンだった。だが、誰もがひた隠しにするしかなかった。その後、女性解放運動が起き、さらにはオバマ政権時代には同性婚が合憲となるなど、アメリカは目まぐるしく変わり続けている。「この作品ができてから、トランプ政権になって、#MeToo運動が起きました。アメリカは一進一退しながら、良くも悪くも進化しています。男性は強い女性に対して、脅威を感じてしまうものなのでしょう。政治もスポーツもビジネスももっと女性が第一線で活躍しないと、本当の平等なんてありえません」。

 〈女性は土俵に上がるな〉〈監督のいうことは絶対〉……日本でももやもやさせられることの多いスポーツ界のハラスメント。本作の後味は実にスカッと気分爽快。描かれた史実が「明けない夜明けはない」とちゃんと教えてくれるからだ。「葛藤を抱えながら頑張っている人たちが好き。彼らが成長し、夢をかなえて、幸せになる。これからもそういうドラマを作りたいです」。

 

映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
監督:ヴァレリー・ファリス&ジョナサン・デイトン
音楽:ニコラス・ブリテル
出演:エマ・ストーン/スティーブ・カレル/アンドレア・ライズブロー/サラ・シルヴァーマン/ビル・プルマン/アラン・カミング/エリザベス・シュー/オースティン・ストウェル/ナタリー・モラレス
配給:20世紀フォックス(2018年 アメリカ 122分)
◎7/6(金) よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
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