キングレコードの名物企画〈低音シリーズ〉からのLP化、待望の第4弾!
近年、アナログ盤ブームは勢いを増し、新譜でのリリースはもちろん、名作の復刻もかなり進んでいる。そんな中、キングレコードの名物企画〈低音シリーズ〉が、マニア垂涎の〈完全限定生産アナログ重量盤〉として再発され、注目を集めている!
重量盤を簡単に説明すると、通常のレコードより約50グラムほど重くすることでターンテーブルの回転や針とレコード溝の接触が安定し原音により忠実に再現される、というシロモノ。そしてそのメリットをフルに活かしきる音源として、〈低音シリーズ〉は正にドンピシャだ。 現在、すでにレコード化されているは3作品。そこに加えて今回巨匠リチャード・デイビスが追加される。この音源は、99年にキングの関口台スタジオで収録、2000年にCD化され、現在も売れ続ける人気作だ。このアナログ盤を一聴して感じるのは、スタジオの空気感。アルコの擦れる生々しい音、演者の息遣いまで余すことなく再現できている。さすが重量盤と思わせる納得の音質だ。
ちなみに既発のブライアン・ブロンバーグ 『Wood(ウッド)』は元々の録音状態が良く、個人的にオーディオ製品購入時のリファレンスにしている。今回良い機会なのでこのCDと、再発のアナログを実際に聴き比べてみた。すると、レコードはローからローミッドにかけての厚みがあり、さらに倍音豊かな音がする。例えば、シンバルレガート。CDよりもグッと音が前に出てくる。この辺はカットされる帯域が基本的にはないレコードのアドバンテージがあるのかもしれない。やっぱり同じ音源を鑑賞するなら、個人的にはやはりレコードを聴きたいと素直に感じた。
実は何よりも鑑賞する側の心構えがCDとは異なっているかも。一連の所作(レコードを袋から出し、ホコリをクリーナーでとり、ゆっくりと盤を載せ、アームを持ってそっと針を落とす)を行う間に、集中力が高まり、聴く気持ちが整っていく……、そんな茶道にも似た心持ちがレコードの音を更に良くしていることも否めない(笑)。そして手に感じる重さの分だけ、このシリーズには満足感が間違いなくある。