カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルらに並んで60年代のトロピカリア・ムーヴメントの代表格でもあったムタンチス。78年に解散し2006年に再結成。2009年に35年ぶりとなるアルバム『Haih Or Amortecedor』をリリース。そして今作は4年ぶりとなる。オリジナルメンバーのセルジオ・ヂアスと2ndアルバム『ムタンチス』にも参加しているヂーニョ・レーミが手を組み、またしても収拾のつかないロックアルバムが完成! 楽しい! 今みたいに情報の出入りの少ない時代に、手を尽くしてたくさんのジャンルに首を突っ込み影響を受けたムタンチスの当時の好奇心を、半世紀後にリリースされた今作でも感じとれる。
音楽を作るにあたっての基本的な態度/発想の何かが間違っている。豪快にボタンを掛け違えている。でも、そのバカバカしさを真摯に極めた様が愉快痛快でサイコーなんだぜ!……と叫んで伝えたくなる、トロピカリズモの生ける伝説が放った、クレイジーでハッピーでポップでブッ飛んだ新作。突拍子もないユーモラスなアイデアだらけで異常なカタルシスが得られる、時代を超越した珍ロックの金字塔!