デヴィッド・バーンが世界各地の多彩な音楽を紹介することで始まった名門レーベル。その守備範囲をさらに広げ、新録タイトルも発掘音源も分け隔てなく送り出している近年の動きを改めてまとめておきましょう!
88年に設立され、国もジャンルも飛び越えて世界中のさまざまな音楽を紹介してきたレーベル、ルアカ・バップ。もともとはトーキング・ヘッズで活躍中だったデヴィッド・バーンの〈自分の好きなものを友達に紹介したい〉というリスナー気質の思いから始まったレーベルで、そのヒストリーは彼がブラジル音楽のお気に入り楽曲をコンパイルした『Beleza Tropical』のリリースをきっかけに始まっている。
同作を起点とする〈Brazil Classics〉シリーズに始まり、〈Cuba Classics〉、喜納昌吉のベストも含む〈Asia Classics〉、アフリカとヨーロッパの影響を融合した〈Adventures In Afropea〉といった括のあるシリーズが続いたものの、そうした分類が意図せずして〈ワールド・ミュージック〉的な見え方になってしまうことを避けたい意図もあったのか、90年代末からは〈World Psychedelic Classics〉や〈World Spirituality Classics〉といったテーマで多国籍&多ジャンルの音楽をシリーズ化している。
そうした志向を推進するのはバーンと共同でレーベルを運営するオーナーのイェール・エヴェレフで、膨大な音楽知識とレコード・アーカイヴを有する彼の探究心と審美眼が近年のリリース傾向をより彩り豊かにしているのは間違いない。そして、そのように時空を超えて良質な作品たちが届けられるルアカ・バップの世界だからして、発掘音源やレガシーの復刻であろうとフローティング・ポインツやアニー&ザ・コールドウェルズらの新録作品であろうと、それらは等しく新たな発見に違いないのだ。
左から、スサーナ・バカの97年作『Susana Baca』、モレーノ+2の2000年作『Music Typewriter』(共にLuaka Bop)、フローティング・ポインツの2015年作『Elaenia』(Pluto/Luaka Bop)、カシンの2018年作『Relax』(Lab 344/Luaka Bop)、ブレマー/マッコイの2024年作『Kosmos』(Bremer McCoy Music/Luaka Bop)