サンクラ世代の寵児としてシーンを駆け上ったXXXテンタシオン。ディストーションの効いた歪みまくったサウンドと挑発的なアティテュードはまるでロックスターとも言うべきで、メロディアスなフックと厭世的な歌詞が特徴の〈エモ・ラップ〉を牽引する存在であった。そんな彼が20歳の若さで銃弾に倒れるとは誰が予想しただろうか。彼がデビュー作『?』の後に発表する予定だった表題を冠したのがこのアルバム。“SAD!”の続編的な“BAD!”を聴くと、彼の不在が嘘のようにも思えるし、カニエが加勢したメタル風味の“One Minute”やXらしいシンプルなメロディーが際立つ“I Don't Let Go”を聴くとさらなる可能性が感じられ、いたたまれない気持ちになるばかりだ。安らかに。