ダル・グレンの名で残したビート作品『Cut Basic』(2008年)に始まり、複数の名義で動いてきたパリの才人ワルター・メッカ。テクノやドラムンベース、プログレ、エキゾなコラージュまで作風の幅も異様に広い人だが、縁深いオンラー主宰のNBNから出した今作は本人のまろやかなフロウで紡ぐ今風のヴォーカル作品に。あえて時流に寄せてみたような余裕も窺わせつつ、アーバン・ドープな意匠に心地良く包まれる一枚だ。