「紅白」出場に海外展開、圧倒的ペースで攻めつづける3人

2025年は米カリフォルニアでのフェス〈Head In The Clouds〉に出演したこと、また2ndアルバム『No.Ⅱ』をリリースしたことを筆頭に、国内外で大活躍を見せたNumber_i(詳しくは年末に掲載したコラムを参照してほしい)。大晦日には「NHK紅白歌合戦」へ2年連続で出場、“GOD_i”という攻めた選曲でダークかつアグレッシブなパフォーマンスを見せたことは記憶に新しい。誰にとっても親しみやすいポップソングやヒット曲を華やかなアーティストやかわいらしいアイドルたちが歌うなか、衣装や舞台装飾を含め、〈誰にもおもねらないぜ〉とばかりに彼らの表現を貫き通していた3人の有り様には、端的に言って痺れた。状況や空気に下手にアジャストせず、エンターテイナーというよりも表現者として自分たちが描きたい世界を曲げずにそのままの形と濃度で届けていたのが、「紅白」という場でのNumber_iだったと思う(余談だが、HANAとちゃんみなにも同じようなことを感じた)。

年が明けてすぐ、1月2日に〈各メンバーがナビゲートする新感覚プレイリストアルバム〉として『DAiLY&SUN』『DAiLY&LOVE』『DAiLY&CHILL』の3作が配信されたことには驚いた。〈DAY(日常)〉×〈iLYs〉を掛け合わせた〈DAiLY〉をテーマに岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太がそれぞれ1作ずつ担当したものだが、〈Track by Track〉としてコメントが挟まれており、それぞれの個性、音楽観や思考、思いが表れている。Number_iの曲と3人の生の声が交互に聴けるこれらの作品は、それこそ〈デカすぎる愛〉を感じるファンサービスだった(しかも、3作はiTunesやオリコンデジタルアルバムランキングでトップ3を独占した)。

さらに新曲“3XL”の配信をアナウンスし、同曲を表題に掲げたシングルのリリースも決定。『No.Ⅱ (Deluxe)』もリリースしていたのに、ものすごい制作ペースだ……と歩みを止めない様子に圧倒されつつ、より驚かされたのは、アメリカの巨大エージェンシーWMEとエージェント契約を結んだという発表だった。海外での活動がさらに本格化して増えていくのだろうなと予感しつつも、しかし3人にとってこのことはまだ一つのステップでしかないのだろうなとも思った。海外フェスでのライブでも先に書いた「紅白」でのパフォーマンスでも、どんな場でも基本的に〈Number_iをやる〉というブレなさと攻めの姿勢は、それこそ“GOAT”のリリース時から一貫しているので、周囲の状況は大きく変化しながらも、3人の表現世界は研ぎ澄まされていくばかりなのだろう。『No.Ⅱ』の攻めまくった音楽性を思えば、それは当然だと思う。

 

デカすぎる愛にあふれたポップなキラーチューン“3XL”

さて、そうして2026年最初の一手として届けられた“3XL”を、遅ればせながらだがレビューしてみよう。

この曲は、平野がプロデュース、表題曲で初の恋愛ソングに挑んだもの。〈表題曲で初の恋愛ソング〉というところがまずフックになっていて、〈えっ、そうなの?〉と思わせられたが、男性ダンスボーカルグループだったら一発目にやりそうな常套手段を活動3年目にしてやる、という事実も彼らのユニークさを証明している。

一聴したときの印象は、〈Number_iにしてはかなりストレートでポップなキラーチューン〉というものだった。テレビCMで流れてきてもいいくらいの清涼感がある。“GOAT”“INZM”“GOD_i”“未確認領域”といったこれまでのシングル曲が攻めすぎていたから、リスナーとしての基準がおかしくなっているかもしれないが……。

特にビートとスラップベース、ギターのカッティングがパワフルなグルーヴを織りなしていてファンキーなコーラス(サビ)の部分は、〈デカすぎんぜこの愛は〉から始まる歌詞の覚えやすさとメロディのシンプルな気持ちよさがあいまって、この曲のポップさを強く印象づける。〈3XL〉と歌ったあとの、ストリングスのピチカートっぽいシンセのフレーズが颯爽と走り抜けるところも清々しい。全体的にテクニカルなラップが際立っていながらも、サビやブリッジ(〈幸せそうで幸せ〉からのくだり)のメロディアスな親しみやすさが聴いたあとの印象としてはっきりと残るのが、“3XL”という曲の大きな特徴である。