インタビュー

ふくろうず 『マジックモーメント』 Part.1

3人体制だからこその挑戦が一枚に結実した新作。くるくると移り変わるサウンドが突き抜けた開放感を纏う、最高のガール・ポップがここに!

ふくろうず 『マジックモーメント』 Part.1

 幾何学的なフレーズを繋ぎゆくシンセにザクザクと斬り込むギター・リフ。エアリーな内田万里(ヴォーカル/キーボード)の歌声が、相も変わらずフリーフォームなメロディーをなぞる。前作『砂漠の流刑地』のリリース後にドラマーが脱退。合間にミニ・アルバム『テレフォン No.1』を挿み、フル作としては実に3年ぶりに届いたふくろうずの新作『マジックモーメント』が素晴らしい。時代感をスルリとかわす冒頭のテクノ・ポップ“GINGA GO”から〈3人の次なる一手〉が高らかに鳴っている。

ふくろうず マジックモーメント エピック(2014)

  「久しぶりのアルバムですし、新しい面を見せたいなっていうところで“GINGA GO”を最初に作ったんです。生のドラムがいたときにはできなかったことをやりたいねっていう、3人共通の認識はあったと思います。ドラムの打ち込みはベースの子が中心でやってるんですけど、アレンジだけじゃなく、曲もかなり変化してると思いますね。あと、うちのバンドはギターでちょっとした違和感を与えるようなアレンジをいつも考えていて、“GINGA GO”ではふくろうずのそういう面をギュッと表現できたんじゃないかと思います」(内田)。

  「わざわざフックを作るぞ、ってやってるわけじゃないんですけどね。でも、(内田が)割としっかりしたコードとメロディーを持ってくるから逆に自由にできるというか(笑)、ギリギリまで攻められるというのはあるかもしれないです」(石井竜太、ギター)。

 安西卓丸(ベース/ヴォーカル)のウィスパー・コーラスをアクセントにした“ドキドキ”、〈星に願いを〉をファンタスティックに引用した変形ドラムンベース“マーベラス!”、シンセ・ベース&ストリングスがバウンスするディスコ・ポップ“イージーカム・イージーゴー”をはじめ、ほんのり80sなマシーン・ビートを敷いた中盤の楽曲群は、かつてないほどに突き抜けた、開放的な空気を纏っている。

 「私は暗い曲を作るのが得意なんですけど(笑)、楽曲提供みたいな機会もあって、割といろんな曲を作れるのかもと思って。それで、どうせなら真逆の曲を、って作ったのが“マーベラス!”。“イージーカム・イージーゴー”は、私がTM NETWORKの“Get Wild”がめちゃめちゃ好きなので、音色はある程度参考にさせてもらってるかもしれないです。恥ずかしがり屋で、明るい曲をあまりストレートにやりすぎるのは抵抗があるんですけど、ちょっとズッコケ感を入れることでバランスを取ってるのかも」(内田)。

 その一方で、これまでのふくろうずの持ち味であるメランコリックなミディアム群も健在。繰り返される〈I MISS YOU〉というラインが切なく耳に残る“37.3”、タイトル通りに懐かしい街の灯りを想起させる“ベッドタウン”などがエンディング間近を感傷的に彩っている。

 「“37.3”は風邪をひいたときに出来た曲なんですけど、そういうときに自然に作ると、失恋ソングになるみたいです(笑)」(内田)。

 

 〈内田語〉とも言えそうな特有のヴォーカリゼーションを基軸にサウンドの方向性を多角的に広げ、そのくるくると移り変わる音と呼応するように、リリックに登場する女性たちは逸る恋心に浮かれまくったり、かと思えば別れた恋人に切実な思いを馳せたりと忙しい。翻弄されずにはいられない可愛らしさといい意味でのやっかいさを持つ、つまりは最高のガール・ポップがここにある。

  「中学の頃からそうなんですけど、私はマニアックな、ちょっと自分と似たような人にばっかり好かれるんです(笑)。でも、自分とまったく違うタイプの人にもおもしろがってもらえる作品作りをしたいなあって。それで、葛藤しながら自分の明るい面も出してみたり、いろいろチャレンジした結果の今回のアルバムなので、それを楽しんでもらえればいいなと思います」(内田)。

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