名門〈LSO Live〉の幹部が語る、充実した現在と輝かしい未来!!

 世界の主要オーケストラが次々に自主録音レーベルを設立することで、レコード業界の地図や在り方を一変させた21世紀。その先駆けのひとつが、2000年に始動したロンドン交響楽団の〈LSO Live〉だ。元首席指揮者コリン・デイヴィスとの『ドヴォルザーク新世界より』を皮切りに、多くの巨匠との名演をライヴCD化してきた彼ら。その旺盛な活動は、2017年にサイモン・ラトルが首席指揮者に就任したことで、さらなる勢いと充実を増している。昨年のLSO来日公演に帯同した同レーベルのヘッド、ベッキー・リーズがその軌跡と今後の展望を語ってくれた。

 これまでの思い出深いレコーディングを尋ねると、次の答えが。

 「私はシャンドス・レーベルで務めた後、このレーベルで働き始めました。歴代の首席指揮者や客演指揮者は各々個性的で素晴らしい名演を残してくれました。中でも思い出深いのは、LSOを長年率いたデイヴィスが、2007年に80歳の誕生日を迎えた祝祭ムードの中で指揮したモーツァルト《レクイエム》。あと、LSOにロシアの色彩を加えてくれたゲルギエフとのベルリオーズ・プロジェクトも。2013年録音の《幻想交響曲》では、私たちの初の試みとして、従来のSACDハイブリッド盤に加え、同一の演奏を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクも同梱。より広い楽しみ方を提供させていただきました。そして、2005~2006年に録音したハイティンクとのベートーヴェン交響曲全集。巨匠の円熟した名演が、名門〈Decca〉出身の録音陣が手がけた最高の音質で記録されています」

 では、現首席指揮者ラトルの印象は。

 「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を経て、故国のイギリスに〈帰ってきた〉彼は今、実にいきいきとしていますね(笑)。2018年のバーンスタイン生誕100周年には『ワンダフル・タウン』を指揮しましたが、有名な《コンガ》や《スウィング》では、ラトルもLSOも驚くほどの大爆発! バースタインの100歳の誕生日に捧げる最高の贈り物になったと思います」

 2019年もラトルとの『ベルリオーズ《ファウストの劫罰》』、ジャナンドレア・ノセダが指揮した『チャイコフスキーの交響曲第4番&ムソルグスキー《展覧会の絵》』、ハイティンク指揮&ロンドン交響楽団とマリア・ジョアン・ピリスによる『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番』、三重協奏曲フランソワ=グザヴィエ・ロトを迎えての映像作品『若きドビュッシーへのオマージュ』など注目リリースが続く当レーベル。今後はゲーム音楽やサウンドトラックへの参入も考えているそうで、動向から目が離せない!