現実と幻想が絶妙なバランスで成り立つ7曲入りミニ・アルバム『from NOVEL LAND』。プロローグとも言うべき、“スイング・バイ”の意味は〈小惑星探査機が遠くまで行くときに惑星の重力を使って加速する〉こと。独特の〈宇宙観〉を言葉と音で表現しつつ、描かれる感情は身近で、背中をそっと押して送り出してくれる優しさと強さがある。リード曲の“リビングデッド・スイマー”は出羽良彰がトータル・プロデュースした新境地の楽曲で、歌詞の〈願いも 挫折も 幻も すべてが君を光らせていく/この夜をただ泳ぎ切るための歌〉をそのまま体現したような一曲。夢を見て現実でもがいている人にとって、どれほど胸に刺さることか。切り込んでくるギターは、水中に差し込む光のように鮮やかだ。他にも、ダーク・ファンタジーの色合いを醸し出す“スケイプ・ゴート”に、柔らかな日差しを思わせるコーラスと切なくも温かい言葉が紡ぐ“綻びの果て”など、いずれも人それぞれの〈光〉を感じさせる曲が並び、散りばめられた伏線を回収するような曲順もお見事。さらに勢いを増して進んでいくHalo at 四畳半が楽しみになる、そんな推進力のある作品だ。