出羽良彰がプロデュースを務めた“イノセント・プレイ”“蘇生”ではストリングスやピアノを織り交ぜてドラマティックに仕上げるなど、よりスケールアップした楽曲が際立つセカンド・アルバム。“クレイドル”ではアコギの温かみを上手く活かし、“レプリカ”ではLRに音を振り分けてゾクゾクさせたりと、聴き手を飽きさせない。あと、どの曲もコーラスワークが秀逸。結果、渡井翔汰の歌がこれまで以上に澄んで響いている。

 


自分の心を構成するものは一体何だろう。感情か、意志か、それとも誰かから受け取った思いか。Halo at 四畳半のセカンド・アルバム『ANATOMIES』は、自らの内側にあるものは何かと問いかけてくる。

リード・トラックの“イノセント・プレイ”は、アルバムを締めくくる“蘇生”とともに、出羽良彰によるプロデュース。繊細かつ力強いサウンドで、〈誰もが 勇ましい 勇敢な勇者ではなくて/震える その足で 明日へと向かおう〉と歌う澄んだヴォーカルは、彼らが歩んできた日々を表しているかのよう。雪景色を思わせる描写に、温かみのあるベースが印象的な“Ghost Apple”は、タイトルの現象の意味を理解したとき、より切なくより美しく響く。自らになじられているような歌詞にドキリとさせられる “レプリカ”、〈言葉より心に従え〉の通り、イントロのギターリフから疾走感たっぷりの“疾走”など、異彩と〈らしさ〉が混じり合う。 “花飾りのうた”は、〈溢れ出した思いに形があるとしたら/どんな姿をしているだろう〉〈心の中をそっと覗き込んだとしても/相応しい言葉がそこにはないこと〉と言いながらも、思いの深さは楽曲全体が物語っている。

こちらが心を開くから、相手も心を開いてくれるように、音楽に昇華された内面は、聴き手の複雑な心をも解きほぐす。不安や期待、決意を抱えている自分。それに気づかせてくれる、〈無垢なる祈り〉を宿した彼らの演奏に心を打たれるばかりだ。