Mikiki編集部のスタッフ4名が〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、新着楽曲を軸にマイブームな音楽を紹介していきます。今週は、連載の正式メンバーになるという噂もあるHIGH QUALITY CURATION MEDIA〈TOWER DOORS〉担当の小峯崇嗣さんにもジョインしてもらいました。紹介した楽曲は下記SpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【小峯崇嗣】
Mahina Apple & Mantis “Blow My Man”
TOWER DOORSを担当しています小峯です! 〈Mikikiの歌謡日〉の出演は2回目となりますが、今回はTOWER DOORSがYouTubeチャンネルで先週紹介した楽曲よりピックアップします。
福岡を拠点に活動するシンガーMahina Appleとトラック・メイカーMantisがコラボレーションして、9月11日にリリースした『Sign』からの一曲です。ネオ・ソウル系のメロウでトロけそうなトラックについうっとりしてしまいます……そして言わずもがなMahina Appleのソウルフルで甘美な歌声が、個人的どストライクで、最高です。
【酒井優考】
POLLYANNA “pantomime”
今年7月に実施したライヴ〈Mikiki Pit Vol. 9〉では一発目に披露してくれた、今年リリース予定(と言ってたけどどうなったんだろう)の新作より“pantomime”のMVが先行で公開。待ってました! ベース・斎藤モトキの詞曲のセンス、ヴォーカル・伶菜のかわいらしく、時に小悪魔、時に優雅な歌、高い技術かつオシャンなバンドのパフォーマンスと、どこを取っても無敵のバンドだと思います。映像も仕掛け満載でカッコかわいいおもしろい(個人的にはワンちゃんとラストが好き)! 新作、期待してます!
King Gnu “傘”
たしか年始に〈今年は彼らの年だ〉と言った気がするんですが、〈そろそろこういうのが欲しくない?〉っていうタイミングでポンポン名曲を(しかも毎回違う角度から)リリースしてくるから本当に一年中話題が尽きないバンドです。コード進行が秀逸。
【天野龍太郎】
武田理沙 “沈める月”
衝撃のファースト・アルバム『Pandora』から1年、武田理沙さんがセカンド・アルバム『Metéôros』を10月23日(水)にリリースします。クラシックを出自に持ち、フリー・ジャズやフリー・インプロヴィゼーションからインスパイアされ、自身の音楽を追い求め始めた彼女。歌モノに挑戦した新作は、一癖も二癖もあるポップ・アルバムです。こちらは『Metéôros』のラストを飾る“沈める月”。マジカルなサウンドだけでなく、ウィスパー・ヴォイスを駆使した武田さんのヴォーカリゼーションにも注目してみてください。Mikikiではトクマルシューゴさんとの対談記事を準備中!
星野源 “さらしもの (feat. PUNPEE)”
私にとって、おげんさんの曲でいちばん馴染む、すっと聴ける曲かも。個人的にEP『Same Thing』は、これまでで一番いい感じで聴ける作品なんですよね。2人のラップがいいです。
ASOBOiSM “HAPPOUBIZIN feat. なみちえ”
〈ニートtokyo〉に登場したり、「文藝」で執筆したり、あっこゴリラのイヴェントへの出演が決まったりと、なみちえさんは最近めちゃくちゃ活躍されていますね。同じく注目を集めるラッパー/シンガー・ソングライター、ASOBOiSMの曲にジャンプ・インしたこの曲では、〈履き違えたハイヒール/帰りたいここからランニング〉というラインで一瞬、ソウルフルな歌声を聴かせています。その歌声に、ふとローリン・ヒルのそれを重ねてしまいました。〈The Miseducation Of Namichie〉……? なみちえさんのフル・アルバムを聴きたいです。
KANDYTOWN “Last Week”
10月23日リリースのセカンド・アルバム『ADVISORY』収録曲。IOがコーラスを歌い、GottzとMUDがラップしています。私はどうしてもMUDのスモーキーなフロウや声に惹かれます。今回は〈俺のスタイルはno need sizzurp/グラスに注ぐhardなliquor/blackなsoulとyellowな肌〉というラインにビビっときました。ストレートなトラップ・ビートに挑んでいることも驚き。
PunPunCircle “Spring!”
2年以上音楽を作っていなかった(!)というPunPunCircleから、“Spring!”と“Beirut”という2つの新曲が届けられました。これがなんともすばらしいグローカル・ビート・ポップで、感動しきりです。ぜひ聴いてほしいのが“Spring!”。〈Apple Musicで中東ポップス聴き漁ってたら出来た〉というこの曲を聴いて、やっぱり〈泰安洋行〉の感覚をいまに受け継ぐ音楽家の一人だと思いました。中東ではありませんが、インド音楽からインスパイアされたAnchorsongの2018年作『Cohesion』と一緒に聴くのもいいかも。
小沢健二 “彗星”
小沢健二の13年ぶり(!)となるニュー・アルバム『So kakkoii 宇宙』から。この動画はティーザーその1、とのこと。“彗星”についてはレヴューで長々と書いたので、そちらをお読みいただけるとうれしいです。書いた後に柴那典さんが、歌詞に出てくる〈1995年〉の〈冬〉は〈阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が起こった季節だ〉、と指摘されているのを読んで、なるほどと思いました。
【田中亮太】
CAR10 “ONE VAN”
長らく演奏されてきた名曲がついに音源化。少し予想外にも、ライヴでのパフォーマンス時よりテンポを落とし、レイドバックしたアレンジになっていて、それがまたたまらなく良い。優しい。未来が見えない、どころか今日の生活さえままならない社会になってしまったけれど、全国の街に暮らす仲間、週に一度くらい会って馬鹿笑いできる友達がいれば、きっと明日もなんとかやっていける。2019年を懸命に生き抜かんとするスウィート&テンダー・フーリガンズのためのアンセム。彼らの新アルバム『未来で笑っているために』は、11月20日(水)にリリースされます。
【高見香那】
SPARTA “ALIEN ft KID FRESINO”
SPARTAという熊本出身のビデオグラファー/ラッパーの新曲。やさしい音色の鍵盤とギター、ゴスペル調のコーラスなどによるシンプルなトラックの上で、〈空高く/見上げてる空に/届く事無く、終わるなんて嫌〉と、淡々と夢について語られていく。響きまくりました。〈ま、ダサい日もあるから楽しい〉、そうだよね……。