King Gnuの新曲“AIZO”が、配信に続いてCDシングルでもリリースされた。アニメ「呪術廻戦」と3度目のタッグを組む形で書き下ろされた“AIZO”は、従来のKing Gnuらしさを備えながら、シングル曲としてはバンド史上最速のBPMを誇るハードなナンバーに仕上がった。音楽、ロック、アニメ……様々なシーンに独自の領域を展開し続けるKing Gnuの最新曲をライターの蜂須賀ちなみに分析してもらった。 *Mikiki編集部
高速ドラムンベース × ロックの王道アプローチ
やってくれたな、King Gnu……!
TVアニメ「呪術廻戦」第3期〈死滅回游 前編〉の主題歌として制作された新曲“AIZO”を聴いて、つい快哉を叫んでしまった。冒頭、いきなり笙が鳴り、〈雅楽か?〉と度肝を抜かれる。御簾が上がり、何が始まるかと思えば、まさかのBPM 195のドラムンベース。高速ブレイクビーツとともに〈LUV ME〉〈HATE ME〉〈KILL ME〉といった叫びが刻まれている。同時に常田大希がギターを弾き倒し、King Gnuらしさが早速炸裂している。
ドラムンベースは通常、ベースとドラムが主役のシンプルな音像だが、“AIZO”では実に様々な音が鳴っている。〈ロックバンドって何?〉と問われれば〈好きにやること〉と即答しそうなKing Gnuらしい、衝動を制御せず詰め込んだミクスチャーナンバーだ。
しかしその音数の多さに反して、音楽的構造は明快かつストレートだ。彼らはこの曲で、ロックの王道アプローチを躊躇いなく採用している。例えば、サビ前ではギターが6連符 × 2(転調するラスサビでは × 4に増幅)の上昇フレーズを弾き、ここぞとばかりに盛り上げる。エフェクトで歪んだビームのような音も派手にキマる。そしてサビではギター&ベースのユニゾンリフがダイナミックに響く。ハーモニクスの透明な音色も存在感を放つ。
ボーカルのメロディも大胆だ。〈愛憎愛憎〉と4分音符 × 4のリズムで、DとEの2音を往復するメロディは非常にシンプル。このシンプルなパートのリフレインが楽曲全体の軸となっている。誰にでも歌えるメロディであり、実際に複数名の声が重ねられていることから、これは完全にシンガロング前提。スタジアムロック的な文法だ。ここでもロックバンドの〈お約束〉が本気で採用されている。
ドラムはすべて打ち込みだが、ライブではこの複雑かつ躍動的なフレージングを勢喜遊がフィジカルで再現するのだろう。強烈なグルーヴに地面が揺れるなか、顔をぐしゃぐしゃにしながら、この曲を叫び、鳴らすメンバーとオーディエンス。そんな光景が既に脳裏に浮かぶ。その時“AIZO”を構成する様々な要素は、プロレスの煽り的な装置として――ロックファンに〈やっぱりこうじゃなくちゃ〉という確信と、それ以上の昂揚をもたらす音楽として機能するはずだ。そしてバンドとオーディエンスは、特別な共犯関係で結ばれるだろう。
