かつてロストロポーヴィチが音楽の精髄を授けた毎夏エヴィアンで開かれる音楽祭で、2018年に誕生したオーケストラをサロネンが指揮した結成演奏会ライヴ。しかも、『英雄』交響曲と、その第2楽章「葬送行進曲」に由来するR.シュトラウスの『メタモルフォーゼン』をプログラムした必聴の一枚。『メタモルフォーゼン』での明晰かつ熱烈な統御の後に来る『英雄』では、サロネンの指揮で聴けるベートーヴェンの他の音源(第5番や第7番、第8番など)にも共通する「豊饒な愉悦」が、新しいオケの旺盛な表現意欲と相まって横溢。指揮者としてのサロネンに欠かせない切れ味、ライヴ特有の熱量に魅了されるしかない。
エサ・ペッカ・サロネン、シンフォニア・グランジュ・オ・ラック 『ベートーヴェン: 交響曲第3番《英雄》、R. シュトラウス: メタモルフォーゼン』 指揮者の切れ味+ライヴ特有の熱量が魅了
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