青柳拓次、本名での活動やリトル・クリーチャーズなど、どれも素晴らしいけれど個人的に一番好きなのはカマ・アイナ名義での作品。手触りや温度の伝わる音の近さ、押しつけがましさは一切ないのにカマ・アイナとしか言いようのない音。もうこの名義では作品は作らないのかなと思っていたが、遠い国の古い友人から届いた何でもない手紙のように唐突に、しかし自然に届いたのはミュンヘンの、独語でウェディング・チャペルの意を持つ素敵な名前のブラスバンドとの演奏の記録。小さな部屋で丁寧に手作りしていたようなあの音を彼の地の人々と何気ない会話をしながら組み立てている様が浮かんで嬉しくなった。