交通事故で死んだ夫が幽霊となって妻を見守り続ける。それではデミ・ムーアの『ゴースト ニューヨークの幻』ではないか? と思ったあなたは正解ですが、映画の趣きはあまりに異なる。静謐な音響設計、失意の妻ルーニー・マーラーがパイを食べるシーンの長廻しといった実験的とさえいえる攻めの姿勢と、目の部分だけ穴の開いたシーツを被った幽霊で全部OK!といった映画ならではのチャーミングさの同居が摩訶不思議な魅力を放つ。特に、大胆な省略で急展開する後半のドライヴ感には悶絶。現代アメリカ映画の最重要監督デヴィッド・ロウリーの新たな傑作!