まるで示し合わせたかのように騒がしくなってきたワン・ダイレクション周辺から、LPの初LPがようやくお目見え。当時旬のクエイヴォを招いた“Strip That Down”でのソロ・デビューが2017年5月だから少し間が空いた印象もあるが、恐らくは制作途中にシェリルとの破局を経験したことから、楽曲の中身を見つめ直す必要があったのだろう。結果的に17曲(日本盤は20曲)入りになった内容は、その過程で生まれたジョナス・ブルーやJ・バルヴィンらとのヒット群も全乗せしたベスト盤的なノリでありつつ、“Remember”など前半に固められた初出曲たちが現在の心情を真摯に物語る。トラップやダンスホール、ラテンを取り込んだ現行アーバンの洗練性が似合う繊細な歌唱の美しさも含め、じっくり堪能したい佳曲集だ。