
脳天炙りポン酢!
――なんとなく二人のノリがわかってきました(笑)。でも、そうやってたくさん曲が出来るなかで、なぜ一曲目がまぐろの曲だったんですか?
もちこめ子「二人で居酒屋を探してる時に、まぐろ専門の居酒屋があって。そこのメニューに〈脳天炙りポン酢〉っていうものがあって。〈何これ!? 超バカにしてない!?〉とか言って(笑)」
こしあん子「〈超悪口じゃない!?〉〈お前は脳天炙りポン酢だな!〉みたいな(笑)」
もちこめ子「〈脳天炙りポン酢〉っていう言葉を言いたいがために注文するっていう(笑)。他にも〈まぐろ5種盛り〉とかあって、〈ホンマグロ〉〈インドマグロ〉って書いてあって。そしたらもう〈ホンマグロ! インドマグロ!〉って歌い出して、ほぼBメロが完成ですよ(笑)」
――(爆笑)。
もちこめ子「もうあん子ちゃんに会うたび〈脳天炙りポン酢! フワフワ!〉って歌ってたね(笑)。そしたら〈とりあえずこれリード曲じゃね?〉ってなって。その後にいい感じのサビを思い付いたんで、それを付けて。一発目はめでたく、まぐろの曲でいくことになりました。ただ、バンド編成じゃないので私が一人で全部の音を重ねないといけないし、一発目だからこだわってしまって、作りこんでたら時間がかかっちゃいましたね。ついついパーリナイしちゃって(笑)」
――(笑)。なぜ今年の1月3日にMVを公開したんですか?
こしあん子「まぐろだし、めでたい日に公開しようということで、最初は2019年の12月25日の予定だったんですけど、年末になってMVが間に合わないということになって、〈三が日ならまだめでたいよね?〉とか言って3日になりました」
もちこめ子「いやーMVを作ってくれたendoさんありがとうございました(拍手)」
こしあん子「お陰様で子供が泣き止むという評判のMVが出来ました」
――Mikikiの週刊連載で紹介したら、僕の友人の子供も泣き止んだらしいです(笑)。
もちこめ子「えーー!! めっちゃうれしいんだけど!!」
こしあん子「それがいちばんうれしい」
もちこめ子「Eテレとかで使われたいです!」
――でも、〈おはぎって誰なの?〉とも聞かれました(笑)。
もちこめ子「誰なんだろうね」
こしあん子「それはちょっとわからないけど(笑)」
――そういう、何かクセになるような仕掛けって自分たちで仕込んでるんですか? それとも結果的にそうなるんですか?
もちこめ子「〈一回聴いたら頭から離れないフレーズを作ろう〉というのは割と考えていて、あん子ちゃんの歌詞にメロディを付けて勝手に歌ってると、それがあん子ちゃんにも移って歌ってることがあるんです。そうすると〈これはイケるかも〉って思いますね」
こしあん子「たしかに。自分たちがクセになるから、それが基準になってるかも」
もちこめ子「あとはやっぱり転調! 転調を愛しているので」
――僕もいちリスナーとして転調を愛しているので、転調が来ると〈きたきた!〉ってなります。こめ子さんのお友達の髙橋さんの曲でもよく転調が出てきて、サビで景色が変わったり、視野が広がったりする感じがしますよね。
こしあん子「あるある! トンネルから出たみたいな感じね」
もちこめ子「この話、麻佑ちゃん絶対喜ぶと思うんで伝えておきます(笑)! “まぐろパーリナイ”で言うと、サビの直前のフレーズが決め手になっていて、〈サビ始まるぞ!〉って思ってもらいたくて」
――じゃあ意図的に仕掛けてもいるんですね。
もちこめ子「それくらいですけどね。気付いたら頭のなかに残ってるっていうのが大事だと思っていて、例えばフェスに行って初めて聴いた曲なのにずっと覚えてる曲とかあるじゃないですか。あれすごいなーって。そういうのを狙いたいんです」
――それはミュージシャン全員が思うことだろうに、いきなり出せるのもすごいですね。
こしあん子「こめ子ちゃんは死ぬほど音楽を聴いてて、それもオールジャンル。だからそういうのが出せるんでしょうね」
もちこめ子「すてきなことを・言ってくれて・どうも・ありがとう!」
――さっきからちょいちょい出てくるこの訛りみたいな喋り方は何なんですか(笑)!?
こしあん子「おかしな・ことを・言ってる・つもりは・ない!」
もちこめ子「二人で絵を描いてる時もこうなっちゃうよね(笑)」
こしあん子「おはぎ弁だよね」
もちこめ子「おは弁」
――これ、文字だけだと伝わらないから喋りの配信とかもしたほうがいいですよ! その喋り方も〈脳天炙りポン酢〉の歌い方(?)につながるところがあります。
こしあん子「Bメロの〈ホンマグロ! インドマグロ!〉のところも、メインじゃないところの声ですごくフザけてて」
もちこめ子「3人くらい重ねたあん子ちゃんの声のうち、すごい声で〈ほほ肉! ほほ肉!〉って言ってる声がある(笑)」
こしあん子「ほほ肉に親でも殺されたんかい!っていうようなね」
――ちょっと遅れ気味でね。それ全部文字だと伝わんないんだよな~(笑)。
こしあん子「〈そういう声が後ろに入ってるのがいい〉〈その声の重なり方、普通OK出さない〉みたいに言われました。〈パーリナイ〉のところもフザけてるし」

それこそが・パーリナイ!
――MVに出てくるのはお二人のイラストですか?
こしあん子「サビで出てくるまぐろやお寿司の絵や文字は二人で描いていて、あとはほとんどendoさんが描いてます」
――ちょっとよくわかんなくなってきた……。MVはendoさんが手がけていて、サビの絵はお二人。それ以外の絵はendoさんが描いてるということですね。メインのキャラクターが4匹いて、あれもendoさん作ですか。
もちこめ子「そうです。あれはきっと“まぐろパーリナイ”を聴いて感じてくれたイメージだよね(笑)」
こしあん子「一応〈まぐろありがとう〉っていう曲のテーマがあるんですけど、endoさんはブラックなところがあって。一見あの4人は友達に見えますけど、友達なのに捕食関係があるっていう。〈当たり前を疑う〉ってことがやりたかったのかな~」
もちこめ子「最後遺影になっちゃってね」
こしあん子「〈ごちそうさま〉って命をいただくってことだよねって」
もちこめ子「我々はまぐろの命をいただいて日々〈仕事がんばろ〉ってなってるわけで。最後〈まぐろパワー〉って書いてありますけど、〈まぐろにちゃんと感謝して生きていかなければいけない〉っていうテーマがあるんです」
こしあん子「それこそが・パーリナイ!」
もちこめ子「パーリナイ! 命を・いただいて!」
こしあん子「いただいて!」
もちこめ子「亡くなってしまう!」
こしあん子・もちこめ子「けれども!」
もちこめ子「それこそが・パーリナイ!」
こしあん子「祭典だ! しっとりするよりもね! 祭りだ!」
もちこめ子「騒いで・踊って!」
――止まらない(笑)。なんで二人ともそんなにポジティヴなんですか?
こしあん子「ポジティヴじゃないですよ!」
――ポジティヴじゃなくても、嫌なことを楽しく昇華しようとしてる。
こしあん子「そうしないとやってられないんですよ」
もちこめ子「私はさっきも言ったように、負のものも形にしちゃえば愛せるんですよね。あと寝たら忘れるし、けっこう前向きですね(笑)。あん子ちゃんほど深くまで考えてないし」
こしあん子「私は本当に卑屈だし、嫉妬深いし、人々の悲しい部分を集めて出来たモンスターみたいな感じですよ(笑)。それがあんことなり」
もちこめ子「おいしくなったね(笑)」
こしあん子「ストレスが溜まりやすくて、キャパオーバーになるのが人より早いんですよ。だからみんなが溜息ついてる程度でも(机をドンドン叩きながら)〈死ねっ!〉ってなっちゃう。それをずっと抱えてるのは無理なので、絵を描いたり歌を歌ったりで昇華しているんでしょうね。アウトプットし続けないと死にますよ」
――まぐろのように泳ぎ続けると。
こしあん子「そう!」
もちこめ子「そうなのです!」
こしあん子「で、ガラスにぶつかって死ぬんだいずれ……」
もちこめ子「こわ~!」

おはぎの今後
――今後はどういう活動をしていくんですか? CDを出したいとか、人前に出たいとか、曲をたくさん作るとか。
もちこめ子「とりあえずの目標は年間4曲、シーズンごとに発表していこうと思っていて。いま構想を練っているのは都市伝説の曲なんです。“まぐろパーリナイ”をリリースした後に、そもそも〈まぐろの日っていつなんだろう?〉って思って、調べたら10月10日だったんですよ。で、10月10日ってちょうどendoさんが描いてる〈うさぎ帝国〉の建国記念日でもあって」
こしあん子「endoさんの誕生日でもあるし」
もちこめ子「そう! そこでまぐろの曲をやるべきだったんだなって思ったんです」
こしあん子「生まれた・時から~!」
もちこめ子「やるべき・ことが~! 決まってたんじゃないかって。その時に〈なんか都市伝説みたいだな〉って思ったんです(笑)。そこから都市伝説の曲を思い付いて」
こしあん子「そこからか(笑)」
もちこめ子「だから次に出る曲は都市伝説の曲なんです。いまあん子ちゃんが都市伝説にまつわる歌詞をたくさん考えていてくれて」
こしあん子「こめ子ちゃんがいまHip-Hopにハマってるからラップにしようかと思っていてね」
もちこめ子「ちょっと前に流行ったHip-Hopをたくさん聴いてるんですよ。HALCALIとか、スケボーキング(SBK)とか。だからラップ調の歌詞をお願いしています」
こしあん子「とりあえずめちゃくちゃ韻を踏んでます。でも韻とダジャレの違いがわからない(笑)」
――怒られちゃうけど、一緒じゃないですか(笑)? 今後の活動について訊いて、〈Hip-Hopの曲を作りたい〉って答えが来るとは(笑)。
もちこめ子「それが春に出す予定の曲で、夏はフェスっぽくノレる曲を。年末にはまた食べ物の曲と、四季折々で出していく予定です。で、来年にはミニ・アルバムを作れたらいいなって、ほんの~り思ってます」
こしあん子「人前でライブをする予定とかはないですね」
――目標はありますか?
こしあん子「とにかく続けることですね」
もちこめ子「あとは紅白に出たいです」
こしあん子「いきなり目標がデカいよ! おはぎで紅白ってまぎらわしいし」
――人前には出ないんじゃないんですか?
もちこめ子「いや、単純に紅白ってめでたいからいいなってだけかな(笑)」
こしあん子「友達にも〈おはぎライブやらないの?〉って訊かれたんですよ。で、〈ライブできないんだよね〉って言ったら〈DJみたいに曲をかけて踊るだけでいいじゃん〉って返されて、〈たしかに!〉ですよ」
――Perfumeみたいにしましょう。
こしあん子「そうそう、それなら出来る」
もちこめ子「私一人だとなかなか演奏の再現も無理だしね。だから今年はダンスを頑張ろう」
こしあん子「ダンス頑張ろう!……いや〈ダンス頑張ろう〉じゃねーよ!(笑)」
――最後まで変な人たちだ(笑)。