エストニアの歌姫とフィンランド人俊英奏者が導く、ジャズ・ヴォーカル表現の美意識

 カーリー・ストリングスやトラッド・アタックなど、近年エストニアのミュージシャンを取材する機会が増えた。彼らはトラッドやポップの側にいる担い手だが、皆英語で受け答えし、なにげに上品な心地を抱えており、エストニアって洗練された国なのではないかとぼくは感じてもいる。そして、やはりエストニア人である、このジャズ・シンガーの技巧とフィーリングが高い次元で重なった歌唱を聴いていると、同様の心持ちを持ってしまう。1989年生まれで音楽一家に育ったスサンナ・アレクサンドラはヘルシンキにあるシベリウス音楽院で修士号を得ており、現在はフィンランドに在住。同国気鋭のピアニストであるヨーナス・ハーヴィストとのこの双頭名義作は、彼女にとって2作目のアルバムとなる。また、ここではフィンランド人のダブル・ベース奏者のヨーナス・トゥーリとドラマーのヴィッレ・プンシがつき、シンガー+ピアノ・トリオという形で基本録られている。

SUSANNA ALEKSANDRA,JOONAS HAAVISTO Souls Of The Night BLUE GLEAM(2020)

 効果的な隙間の感覚や清涼感がとても趣味良く活かされ、〈北〉の美的感覚を存分にたたえた現代ジャズ・ヴォーカル作品として推せる内容。アレクサンドラの歌は一言で形容するなら流麗であり、羽を得たようなスキャットも適時披露する。歌声はしっとりとしているのに、一方ではちゃんと奔放さも露にしており、彼女はジャズの歌い手として確かな能力の持ち主であると聴く者を頷かせよう。リーダー・アーティストとしても評価の高いハーヴィストら伴奏陣も過不足なくサポートしている。

 それから、特筆すべきなのは、多くの曲がアレクサンドラ自ら作詞や作曲をしているオリジナルであること。その部分においても、本作はアドヴァンテイジを持つ。風情に富む“ザ・ラヴ・ソング”なんて、他の人がカヴァーしたとしても不思議はない。また、1曲フィンランドのトラディショナルを取り上げ、それもまたエストニアとフィンランドの機知が折り合ったヨーロッパ発ジャズ表現の美点を伝える。

 


*2020年4月13日追記
スサンナ・アレクサンドラ with ヨーナス・ハーヴィスト ジャパン・ツアー中止のおしらせ

2020年5月に予定されておりました〈スサンナ・アレクサンドラ with ヨーナス・ハーヴィスト ジャパン・ツアー2020~美しき北欧からのメッセージ~〉は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となりました。詳細はBLUE GLEAMのオフィシャルサイトをご確認ください。

http://www.bluegleam.com/news/news.php

 


LIVE INFORMATION
スサンナ・アレクサンドラ with ヨーナス・ハーヴィスト
ジャパン・ツアー2020~美しき北欧からのメッセージ~

○5/28(木)所沢市民文化センターミューズ キューブホール(埼玉) ※中止
○5/29(金)豊中市立文化芸術センター 小ホール(大阪) ※中止
○5/30(土)海老名市文化会館 小ホール(神奈川) ※中止
○5/31(日)さんぶの森文化ホール(千葉) ※中止
http://www.bluegleam.com/