元blue marbleのソングライター・チームによる新ユニット。南波志帆や井上ほの花らの作品を手掛けるなどで確かな耳を持つポップ・リスナーから静かに信頼を得てきた彼らが、ヴォーカリストのみさきを迎えて初のフル・アルバムを完成させた。繊細かつ複雑なメロディーとコードを、80年代中・後期への憧憬が表出したシンセ主体のプロダクションで支えた10曲は、どこまでも夢見心地でラグジュアリー。メンバーがフェイヴァリットに挙げる鈴木さえ子やNON-STANDARD時代のピチカート・ファイヴ、あるいは同時代のアイドル歌謡と地続きの感触を成立させている。自身の趣向をストレートに打ち出したからこその説得力を持ち、繰り返されるシティー・ポップ復興の〈次〉を求める向きにもジャストで応える傑作だ。