「レザボア・ドッグス」から最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」まで、監督作にとどまらず原案・脚本作までフォローしたタランティーノの最新評伝本。作品論や制作秘話など織り込みつつも評伝としての面白さが抜群だ。特に「レザボア・ドッグス」を監督するに至るまでの話はそれ自体が映画のよう。「トップガン」を借りに来た客に代わりにゴダールの名作を勧め説得する術に長けていた、などというビデオ屋店員時代のエピソードも最高だが、実はそんな挿話の端々にもタランティーノの本質が見て取れるのだから、ファンにはご馳走と言うしかない一冊だ。