デイヴィッド・リンチ監督はなぜ映画を撮るのか? 生い立ちを調べ至ったのは自分の絵画に動きをつけたかったからだと著者は結論づける。含蓄に富むリンチ監督の特異なスタイルをリンチアンと呼び、テクスチャーがすべてであり、ある種の共感覚であると主張する。この著書はそのリンチアンの探究書であり、リンチ監督の映画10作とテレビ2作品を時系列ごとにリンチ監督の発言、制作過程、裏話、論考を各作品の写真を散りばめながら全編カラーで初心者からマニアまで楽しませてくれる著作となっている。またシュルレアリスムな悪夢を体現するような長編映画を撮ってほしいとこの本を読んで思い到った。