ウディ・アレンの記念すべき50作目の監督作は、テイモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスと若手を起用した今どき珍しい〈王道〉ラブコメで、アレンのフィルモグラフィーでも最も軽快な作品となっている。スノッブ嫌いのスノッブという主人公の造形や、著名な映画監督にその気になる主人公の彼女(現在のアレンをめぐる状況を考えると興味深い設定だ)といったアレン風味を残しつつ、ロマンティックなシーンをベタに盛り上げる演出が素晴らしい(シャラメがピアノを弾くシーンが最高!)。素晴らしいといえば、撮影監督ヴィットリオ・ストラーロ! 曇りや雨のニューヨークとその繊細な〈光〉の美しさ! お見事です。