老いてますます絶好調! ウディ・アレン78歳の本作は、戯曲『欲望という名の電車』を下敷きに、無一文になった元セレブ妻ジャスミンが下層階級の妹のところに居候しながら、なんとかセレブに返り咲こうとするお話。言動だけはセレブなまま見栄と嘘で塗り固められた主人公の存在のイタさや、あげく精神が崩壊していく様をギリギリ“コメディ”として成立させているのは、ケイト・ブランシェットという女優の魅力によるところが大きく(というかすべて!)、本作でアカデミー賞主演女優賞受賞も納得の怪演。特に脇汗描写は必見。主人公は勿論のこと、登場人物すべてを俗悪として突き放すアレンのシニシズムにひたすら痺れる。