世界の変化の速度と派手さとは対照的なシンプルかつゆったりした深みのあるダブ・テクノ。ステファン・ベトケことポールの新作は、自身の過去3部作からも音を引用して作られたまさに彼の〈いま〉であり、突如としてスロウダウンした現在の時代性とも共鳴するベストなテクノかもしれない。ホームリスニングに適した作りに思えるが、身体が内側から揺さぶられるようなサブベースはフロアにも間違いなくマッチするはずだ。