ゴージャスなビッグバンド・サウンドで描く、イエロージャケッツの現在の到達点
81年に、ロベン・フォード(ギター)のファースト・アルバムのレコーディング・メンバーから、ラッセル・フェランテ(ピアノ/キーボード)を中心に編成してデビューし、息の長い充実した活動を繰り広げているイエロージャケッツの25枚目のアルバムは、ドイツ・ケルンの名門ビッグバンド、WDRとの共演作だ。
イエロージャケッツは1980年代から90年代にシーンを席巻していたスムース・ジャズ・ブームの中心を担うグループだったが、90年代にジャコ・パストリアス・ワード・オブ・マウス・ビッグバンドのアレンジャーとしても知られたボブ・ミンツァー(テナー・サックス/ウインド・シンセサイザー)が参加して以来、定評のあったアドリブに洗練されたハーモニーとアレンジが加味され、クォリティーの高いオリジナリティーを確立した。
今回のジョイント・プロジェクトは、2016年からWDRビッグバンドの首席指揮者を務めるミンツァーの呼びかけにより実現した。80年代のヒット・チューン“Mile High”や、今もアンコールの定番曲“Revelation”は、ミンツァーのペンで新たな命を吹き込まれる。WDRビッグバンドに長年アレンジを提供し、現在もレジデント・コンポーザーを務めるヴィンス・メンドーサは90年代の代表曲“Downtown”、“Even Song”(ミンツァーと共作)で、イエロージャケッツとWDRビッグバンドのポテンシャルを最大限に引き出している。
フェランテはマリア・シュナイダーのオーケストレーションを研究し、2015年の“Coherence”をリメイクした。新曲はフェランテの“Tokyo Tale”、ミンツァーが自らの縦横無尽に舞うEWIをフィーチャーした “One Day”といったラインナップだ。フェランテの華麗なシンセ・ワークが、ゴージャスなアコースティック・ビッグ・バンド・サウンドに生まれ変わる。全ての曲を指揮したボブ・ミンツァーは「これが現在のイエロージャケッツの到達点だ」と誇らしげに語っている。